こんにちは ことばのしごとさとうです
サブスタックでは、はじめましての音声配信になります。
音声配信自体は3年半ほど続けているのですが、
こちらでは初めての収録です。
どうぞよろしくお願いいたします。
私は言語聴覚士として、
子どもから高齢の方まで、地域を訪問しながら「ことば」や「飲み込み」のリハビリをしています。
今回は、
「知っていること」と
「伝わること」は別なんだな
と改めて感じた出来事について、お話ししたいと思います。
⸻
先日、ある施設に入居されている利用者さんについて、
施設職員さん向けの「食事介助と姿勢」の勉強会が開かれることになりました。
その利用者さんは、車椅子生活で、首や背中の姿勢を保つのが難しい方。
手の動きも限られているため、食事には介助が必要です。
そして、介助の仕方によって、
食べやすさ
飲み込みやすさ
むせやすさ
がかなり変わる状態でした。
微熱や痰も出やすいため、誤嚥には注意が必要。
そこで、訪問リハビリ側の理学療法士さんが、施設スタッフさん向けに研修を行うことになったそうです。
私は直接の担当ではなかったのですが、
「必要なら協力しますよ」
と声をかけていました。
⸻
すると後日、
「勉強会の資料を作るので見てもらえますか?」
と、スライドが送られてきたんですね。
見た瞬間に思いました。
「……これ、全然頭に入ってこないな」
と。
図は綺麗。
内容も間違ってはいない。
でも、いかにも“AIで整えました”という感じの、専門用語が並ぶスライドでした。
もちろん、知識としては正しいんです。
でも、研修を受けるのは、
介護経験が長い方
入職したばかりの方
資格の有無もさまざまな方
です。
だからこそ必要なのは、
「短く、わかりやすく、実感できること」
なんですよね。
⸻
私はこれまで、
看護師さん向け
介護職さん向け
施設職員さん向け
に、食事介助や嚥下についての研修を何度か行ってきました。
その中でいつも感じるのは、
“説明”より、“体験”の方が圧倒的に強い
ということです。
例えば、
「顎を引くと飲み込みやすいですよ」
と説明することはできます。
でも、それだけではなかなか残らない。
だから私は、
「実習を入れてください」
とお願いしました。
⸻
例えば、ペットボトルの水を口に含んで、
「真上を向いて飲み込んでみてください」
とやってもらう。
すると、多くの人が
「飲みにくい!」
となります。
そこで初めて、
「上を向くと気道が開くんですよ」
「だから飲み込みづらくなるんです」
という説明が“体感”として結びつく。
実際、人工呼吸のときって、顎を上げて気道確保しますよね。
つまり皆さんは、
“気道を開いた状態”で水を飲み込んだ
ということなんです。
これ、図だけ見せるより、ずっと伝わる。
⸻
さらに私が大事だと思っているのが、
「介助される側を体験すること」
です。
例えば、
何の声かけもなく、突然コップを口元に持ってこられる。
どれくらいの量が入るかわからない。
冷たいのか熱いのかもわからない。
これ、実際にやられると、かなり怖いです。
自分でコップを持てる人なら、
温度
重さ
タイミング
を自分で調整できます。
でも介助される側は、それを全部相手に委ねている。
この感覚って、
実際に“される側”になってみないと、なかなかわからないんですよね。
⸻
介護技術って、
「知識」だけではなく、
“感覚”や“想像力”
もすごく大事なんだと思います。
もちろん、専門知識は必要です。
でも、
「知っている」ことと
「わかりやすく伝える」ことは別。
これは本当に別の技術なんだな、と改めて思いました。
専門性があることは前提。
その上で、
どう伝えるか
どの順番で伝えるか
どんな言葉に置き換えるか
そこに、その人の“伝える力”が出るんだと思います。
⸻
私自身も、
SNSや音声配信を通して、
「専門的なことを、やさしく伝える」
ということをずっと模索しています。
まだまだ修行中ですが、
この声と、噛み砕いた言葉で、
少しでも誰かに届く発信ができたらと思っています。
⸻
そして最後に少しお知らせです。
初めて出版したKindle本
『親の介護で後悔しない本』が、発売から1週間を迎えました。
読んでくださった方、応援してくださった方、本当にありがとうございます。
「ちょっと気になるな」
という方は、ぜひAmazonページだけでものぞいてみてください。
👇 『親の介護で後悔しない本』Amazonリンクはこちら
https://amzn.asia/d/0g6rNaI7
そして、このSubstackも、気になったらぜひ購読していただけたら嬉しいです。
これからも、
専門的だけど、やさしくわかりやすい言葉で、
ことばや介護、飲み込みの話を発信していきます。
ことばのしごと さとうでした。





